051:漕
一人ずつ小さな舟を漕いでいく 遠くにぽつんと見えるのが僕
052:芯
キヤベツの芯だけあたえられて生きてきたけものに優しくされる
053:なう
このごろはじぶんじしんを否定してねがいがかなうことをゆめみる
054:丼
うまれてもないぬくもりに包まれて世界が終わる他人丼(どんぶり)
055:虚
人が死ぬ間際に懐中電灯で 「ほしぞら」 きみは虚空を照らす
056:摘
どうしてもあなたが欲しい冷たい日眼鏡の乗った鼻を摘んで
057:ライバル
悪いこと全部自分のせいにしてまでライバルに憧れている
058:帆
帆をかぶるラスボスならば何度かは姿を変えて戦えるのに
059:騒
好きな人に好きな人がいたときもきみは慌てず騒がずに泣く
060:直
直角になりたいきみが気付かないまま少しだけ不幸であるよう
061:有無
少しだけ悲しいこともあるけれど有無を言わさず連れていきたい
062:墓
もう生きて無い人に会う夏休み お墓に手を振る子どもだったね
063:丈
頑丈に出来ているので僕が悲しむ理由がわからないのです
064:おやつ
よく見たら悲しみだらけ僕はおやつがもらえると聞いて来ました
065:羽
おじさんを幸せにしたいたくさんの例外の中 勝負だ、羽毛
066:豚
豚しょうが焼肉定食 僕だけが他人の妻を褒めないからって
067:励
教えられた通りに握るえんぴつの今きみに励まされるなんて
068:コットン
コットンの手触りだった 許されてはじめて触れるあなたの耳は
069:箸
お互いにお箸を贈りあってみる バレンタインってそんな日だっけ
070:介
介抱をするふりをして本当はおれが弱音を吐いているのだ
071:謡
童謡もあなたが歌うとほんとうに不幸がやってくる気がするねえ
072:汚
せめて僕以外の人の手によって汚されなさいと少年に言う
073:自然
恋人は満員電車に乗っていて自然に居やすい姿勢を作る
074:刃
劣情を吸った刃を咥えさせ好きではないと言われてみたい
075:朱
あの人は朱肉を買いに行ったまま 帰って来ないと言う選択を
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